勝つときは汚く 負けるときは美しく

ふと気がつくといつも似たような話をしているので書き留めておきます

【ネタバレ】エドワード・ノートンとデイヴィッド・フィンチャー再び

というわけではない『ゾンビ・ファイト・クラブ』というシンガポールゾンビ映画の話です、はい。

 

https://m.youtube.com/watch?v=uCjgAlsrI-8

 

制作は香港らしく結構見憶えのある顔が多いです。出オチっぽいタイトル(ほんとに原題がZombie fight club)の割に元祖ファイトクラブとあまり重なる部分がないんですが、強いて言えば弾薬が底を突くと拳骨でゾンビの顔面を割り破って脳漿が飛び散ったりするところでしょうか。

 

冒頭ほとんど説明がなく、どこかの都市が崩壊するところから始まるんですが、実は前半後半でかなり違う映画になっていて、前半は老朽化した高層マンションが舞台です。詳しい説明はないんですが住人のパリピっぽいラッパーのところにLAから届いたヤバい感じのドラッグをアッパーになって呑んだらみんなゾンビになったみたいな感じで、ガスなどの空気感染ではなく噛まれて経口感染のはずなんですけど、なんだかそれにしては物凄い速度でパンデミックして、老朽化したマンションなのにどこにそんなに住人がいたんだよってくらいの数のゾンビに囲まれます。なんならいつの間にかマンションの外もゾンビだらけです。

 

高層マンションという密室設定で大量のゾンビに囲まれるあたり『ザ・ホード 死霊の大群』を彷彿とさせます。『ザ・ホード 死霊の大群』つって通じるのかわかりませんが。

 

https://youtu.be/PIXuoB1yWr4

 

登場するマンションの住人に結構特徴があって、ヒロインの女優さんは全身義体喜多嶋舞みたいな感じ、そもそも女性はみんなサイボーグみたいな体型です。ヒーローはマンションに住んでる売人を摘発に来たSWAT(実は売人の金を奪いに来た)の隊員で、彼が素手でゾンビの顔をブチ破ります。他にも紀里谷和明似のギャングがいい雰囲気出してたり、それぞれがドラマらしきものを背負ってるんですが、すぐにゾンビの大群に全部なし崩し的に呑み込まれます。

 

恋人がゾンビになって絶望した紀里谷がプロパンガスに火をつけてマンションを爆破するところ、両足が電動義足の爺さんに車を借りた喜多嶋舞とSWATが辛くも脱出するところで前半終了、唐突に北斗の拳的な世紀末感満載の後半に物語が移ります。

 

パンデミックで崩壊した都市を恐怖で支配するのは、やはり娘をゾンビにされた科学の先生で、どうやったのかゾンビと人間の両方を奴隷にして君臨しています。よく香港映画で見かける俳優さんですが名前まではわかりません。とにかくディテールの説明がありません。喜多嶋は髪を切って全身義体梨花みたいになりました。以後、梨花と呼ぶことにします。

 

この科学の先生が娯楽として闘技場をつくり、そこでゾンビと人間を戦わせています。多分これがゾンビファイトクラブなんでしょう。どちらかというとマッドマックス サンダードームの方が雰囲気近いです。SWATと梨花も一生懸命に戦っています。

 

https://m.youtube.com/watch?v=gXFcngqX7uY

 

このあたりまでほぼ時間を使い終わったのか、クライマックスのアクションとかラスボスとの最終決戦とかもなく、謎自体が特にないのでどんでん返しもないまま急速に終幕に向かいます。この辺、香港映画っぽいです。タイトル忘れちゃったんですが昔みた香港映画で、女スパイみたいなのが忍び込んだ邸宅に爆弾が仕掛けられていて爆発する瞬間にベランダから庭のプールに飛び込むというスタントがあったんですけども、ベランダから跳躍した瞬間に唐突に静止画になって「このスタントであまりに火薬の量が多過ぎて女優が火だるまになって大火傷を負い、撮影は中止となりました。女優は一命を取り留め、いま続編の撮影に向けて懸命にリハビリをしています」みたいなテロップが流れて、そのままエンドロールっていう、ちょっと後にも先にも憶えのない度肝を抜かれた作品がありました。

 

香港映画まじぱねえっすよ。

 

で、科学の先生は梨花を嫁にしようとして、それまで大人しかった娘ゾンビに呆気なく喰い殺され、SWATはゾンビとの戦いで噛まれて感染、梨花を闘技場の外に逃して、ラストシーンはゾンビになって街をウロウロしてるSWATで終わります。

 

なんか久しぶりに香港映画らしい香港映画をみたなと、デイヴィッド・フィンチャーのバッタモンですらないところがいっそ清々しいなと、いまそんな気持ちでいます。