勝つときは汚く 負けるときは美しく

ふと気がつくといつも似たような話をしているので書き留めておきます

滝二の中西くんはいまなにを想ってるだろう

日本 2-1 コロンビア

 

 正直勝つとはあんまり思ってなくて、勝つとしたらかなりアクシデントだろうなと。そもそも日本がどういう仕上がりか全然わからんぶっつけ本番だったし。

 その点、早い時間帯でコロンビアに退場者がでてPKとれたのはアクシデントにもみえるが、コロンビアのセンターバックは終始どっちが競ってどっちがカバーに入るみたいなコミュニケーションが曖昧でドタバタしてたから、これは多分西野さんのスカウティングで把握して狙ってたんだろうなと。

 

 立ち上がりから点取るまではいわゆるゲーゲンプレスもどきで、ボール失ったらすぐ近くの選手がボールホルダーを捉まえにいって、背後の選手が連動して詰めていってコロンビアの前の選手も捉まえる、外されたらリトリートしてハーフウェイラインから捉まえ直す、取れたら大迫に向けて縦に蹴る。

 コロンビアのセンターバックのコンビが悪いから大迫に競らせれば結構簡単に崩せるんじゃないかと、これは当たったなあと。この形は絶対西野さんの狙いで、もう大昔の話だけどマイアミの奇跡のときにブラジルのCBアウダイールとGKジーダのコンビネーションが悪いのを狙って、そこにロングボール蹴らせて城に競らせたら、本当に交錯して後ろにこぼれて点になったと、発想は同じ。

 少し高めの位置でボールとれて縦パスが大迫に入って、完全に裏とれたわけじゃないけどコロンビアのセンターバックカバーリングポジションとれてなくてわちゃわちゃしてるところを引きずるように競り勝ってシュート、こぼれに追いついた香川がもう一回シュートしてハンド→PK。

 

大迫は半端ない。

 

 なので、この先制点は西野さんの狙った通りの形でアクシデントではなかったろうなと。退場とPKはまさかだったけど。

 先制したあとは日本は引いたっていうか、そもそもゲーゲンプレスは奇襲に近い作戦で立ち上がりだけ、体力的にも精々15分が限界だろうし、緻密な練習なんてする時間もなかったろうからゲーゲンプレス自体がもどきで、前の選手が捉まえにいっても後ろの方の選手が詰め切れれてなくて外れてたり結構危なっかしくて、多分コロンビアが慣れたらあっという間に外されたろうけど、早めに得点までいけたんでバレずに済んだ。

 

 日本は4-2-3-1と言ってたけど、守備のときは4-4-2で大迫と香川のツートップの後ろにMFとDFでハーフウェイライン付近で2ライン布いて網を張る。そこに入ってきた選手の対面に立って縦を切ってとにかく裏をとらせない。アイスランドとほぼ同じ形で、ぶっちゃけ弱い国がワールドカップで勝とうとしたらもうこれしかないと思う。

 コロンビアはセンターバックが足元下手な上に中盤にも組み立てできる人材がいないみたいで、自陣からボール持ち出すのはクアドラードかキンテロの力技というか個人技頼み。大迫と香川は守備のときはボール引き出しにきた中盤の選手のマークについてセンターバックは捨てる、蹴らせれば吉田と昌子にファルカオと競らせればそうそう負けない、そうするとサイドしかないからここは乾と原口が頑張ってサイドバックに喰らいついて長友酒井とで守る。コロンビアの17番の左サイドバックが足が速くて強烈だったけど原口がなんとか頑張って気合で戻る。それしかない。

 

 退場者がでたコロンビアは結構交代を引っ張ったけど、多分ペケルマンは日本がどういうチームかよくわからなかったんだと思う。なにせ監督交代から時間がなさすぎて日本人でもどういうチームかわからないわけだから。

 日本は先制したあとは縦パスが消えたんでサイドで2対2、3対3の潰し合いみたいになって、コロンビアは中盤からの持ち出しはクアドラードかキンテロの個人技頼みだから、どっちを外すかで悩んだんだろうけど、結局クアドラードOUT。多分サイド突破しても1人少ないからターゲットはファルカオだけになるんで、それよりもキンテロ残して中盤でなんとか力技で前向いてシンプルに縦一本みたいな狙いにしたんじゃないかと。この交代は結構効いていて、大迫とセンターバックの競り合いが分が悪いんで、近くでこぼれを狙ってる香川を潰しにかかって、実際この後は香川は消えた。このあたりはさすがにペケルマンだなと。

 

 同点にされたのは、長友がクリアミスって後ろに反らしたのをカバーに入った長谷部がファルカオと競ってファウルとられたのをキンテロにFK蹴り込まれたと。

 

 川島どうなってんの。

 

 まあ長友のクリアミスもイケてないんで、しょっぱいプレイ2つ連続したらワールドカップでは失点するなと。川島は開始からずっとナーバスで、アレさわれてんだから掻き出せよ。下抜けてきたの不意突かれ過ぎでしょ。

 

 前半同点で折り返し。後半立ち上がり少しゲーゲンプレスもどきやろうとしてすぐやめて、また縦に蹴るようになると押し込まれる時間が減って大迫もよく動いてボール引き出してるし、1人多い中盤で柴崎も前向けるんで楔がポンポン通るようになった。早めにキンテロに替えてハメス入れてきたけど、ハメスのコンディションが悪すぎてコロンビアの中盤がスカスカになったけど、相変わらず香川がバリオスに消されてるんで本田投入。コロンビアが前に出てこれないせいで裏のスペース消えたけど、押し込んで日本のセットプレーが増えてCKから3人くらいに競り勝って大迫が決めて勝ち越し。

 

大迫は半端ない。

 

 コロンビアはバッカ入れて蹴ってくるかなとおもったらそういうわけでもなく、アスリートっぽい選手が多くて長いキック放り込んでくるタイプがいないんだよね。ハメスはなにもしてないんで実質2人少ないみたいな状況になってたんで、やっぱりキンテロは残すべきだったんじゃないかなあと。

 

 試合は日本が持ち堪えて終了。

 

 原口、乾の両サイドは頑張ってコロンビアのサイドバックに喰らいついて完全に振り切られるシーンはなかったから、横からクロス入れられても中のカバーでなんとか帳尻合わせられた。乾は攻撃でも頑張ったがボールロストが多かった。

 長友のヘディングミスはあったけど両サイドバックは攻守にまずまず。柴崎は特に後半切れ切れで日本のMFにしては珍しくどんどん縦に楔打ち込んでくるスタイルは好感度高い。長谷部がうまく引き出していた。

 センターバックのコンビはコロンビアと対照的に吉田が競って昌子がカバーと持ち味がはっきりしててほぼ完璧。

 

大迫は半端ない

 

香川は10分で消えて本田はアシストで1つ仕事した。ラスト15分くらい前線でターゲットマンとして頑張って競って、どちらかというと試合を殺す仕事だったなと。

 

 試合後のインタビューみてて思うのは、川島、香川、本多あたりの“老害”と批判された選手がかなりナーバスになってるなあと。本田とか目つきおかしいし。まあいつもおかしいが。日本はこれまで選手の内紛みたいなのはなかったけど、ちょっと不穏分子みたいになりかけてる空気があるのが気がかり。長谷部あたりがうまくやってくれればいいけど。

 

 西野さんは策士ぶりが際立つというか、やってるサッカー自体は守備に関してはアイスランドに近い4-4-2のゾーンディフェンス。というか、客観的に考えたら弱者のチームはこれ一択になるのは、近年のCLとかで明らか。

 攻撃はアイスランドの高さみたいなストロングポイントはないけど、大迫と柴崎の個性をうまく活かして程よく縦に速いダイレクトプレイとサイドの縦のコンビでの崩しだけど、次からはここは大迫ー柴崎のラインは消しにくるだろうし、まあ攻撃はどちらかというと試合ごとに西野さんが狙い考えるんでしょうね。その意味ではスカウティングが生命線かもしれない。

 

 やっぱりハリルとかボラ・ミルティノビッチとか岡田さんと同じタイプでどういうサッカーをするかよりも「次の試合に勝つサッカー」に集中するタイプなんですよね、この監督は。トーナメント向きだし、弱いチーム向き。