⑩エンドレス・フィアー
マイケル・マドセンが出てるってだけで観たんだが、最後のオチまで観るとまるっきり違う映画になる。それまであんまり出てこないマドセンは、ラストの演技をするためにキャスティングされたんだなと。
『エンドレス・フィアー』予告編(日本語字幕) - YouTube
⑨淵に立つ
浅野忠信って芝居が上手いと思ったことはないんだけど雰囲気俳優というか、感情があるんだかないんだから分からないような役によくハマる。映画としてはなんら救いのない痛々しい話だが、筒井真理子の前半と後半の演じ分けは見事。
⑧アナイアレーション−全滅領域−
とても美しいはずなんだが、どこか不協和で不安を掻き立てられる映像と音楽が秀逸。ナタリー・ポートマンちゃんが出てるが、シナリオや演技より映像と音楽で原作のテーマを再現する演出が秀逸。
⑦哭声
ともかく國村隼の怪演が光る。『帝都物語』の嶋田久作演じる加藤保憲に匹敵する怪人ぶり。
3/11(土)公開 『哭声/コクソン』予告篇 - YouTube
アメリカン・ゴシックに類するホラーだが脚本が秀逸で、一見よくあるアメリカの旧家に纏わる怪談のようだが、実は離合集散を繰り返す現代的な家族の問題の物語。謎解きよりも怪異な経験を通じて家族の傷が開いたり閉じたりしながらラストの止揚に雪崩れ込んでいくストーリーが一気見させる。
『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』予告編 - Netflix - YouTube
人間のみっともないところをみっともないままそっとしておかないと流血の大惨事になってしまう、いかにも園子温っぽい作品だが、光石研、吹石一恵、若き日の吉高由里子、のちにAV女優になっちゃったつぐみなど、キャストの好演が光る。
④カメラを止めるな
どの評価をみても面白いっていうから珍しく映画館まで足を運んだが、本当に面白かった。曲がりなりにも映像の仕事をしてたんで、前半の長回しはよくこんなの撮る気になったな狂ってると痛快極まりない。またそれが劇中劇になっているアイデアと、なによりこのシナリオを本当に映像化しようと考えた蛮勇が素晴らしい。のちに盗作騒ぎも出たが、やはりこれを映像でやろうとした気概を評価したい。
言わずと知れた永井豪先生。かつてのアニメ版ではなく、コミックあるいは朝日ソノラマ文庫版に割と忠実なシナリオを、思いっきり現代的な画風と音楽でアレンジしていて賛否両論ありそうだが、最近リメイクとは名ばかりのネームバリューだけ借りて原作への敬意に欠ける駄作が多いなか、これはリスペクトに満ちたリメイクに感じて好感もてる。
トラウマ的衝撃に備えよ!『DEVILMAN crybaby』スペシャルムービー - YouTube
②ハードロマンチッカー
下関と小倉が舞台で、不良とヤクザと在日とコリアンが入り乱れる、いわゆるヤンキーものというかバイオレンスものなんだけど、大して派手な立ち回りもなく、ただひたすらに下関の街が寂びている感じは『新世界』みたいなコリアン・ノワールに近い感触。
たまたま北九州出張に近い時期に観たんで、ついでに下関に足を伸ばしたんだけど、劇中では下関からみると小倉がとりあえず進出する繁華街に描かれてて、確かに近い。国立から新宿まで行かずに吉祥寺あたりに出る感じかね。
主演の柳楽優弥のイカれっぷりが素晴らしい。松山を舞台に柳楽がひたすらに誰から構わず喧嘩を売りまくる話なんだけど、何度ボコボコにされてもしばらくのびてると復活してまた喧嘩を始める、の繰り返し。確かにこういう何考えてるか全然わかんない、不良とも言い難い、ただただ暴力に取り憑かれてるような奴は稀にいて、理由がない分ほんとに怖い。